それ、タンパク質が不足しているサインかもしれません。
タンパク質が不足してしまうと、カラダの機能が低下することでさまざまな不調が出てくるだけでなく、体調を崩してしまう可能性が高くなってしまいます。
この記事では、タンパク質の摂取量が不足してしまうと引き起こされる問題点について解説し、タンパク質の不足を補うために知っておきたい4つのコツについてお伝えいたします。
あなたはすでにタンパク質不足!? 事前にチェックしてみよう
忙しさやダイエット、さまざまな要因で食生活がおろそかになると、私たちはタンパク質が不足していても意外と気づかないものです。
私は以前このようなつぶやきをしました。
あれ、その症状…
🔸貧血気味
🔸疲れやすい
🔸肌がガサガサ
🔸うまく動けない
🔸思考回路停止気味
🔸髪ガサガサ爪割れる
🔸集中力がよく途切れる
🔸ボーッとしてるのが多い
🔸なんだか私、イライラする
🔸寝つきが悪く起きるのも辛いタンパク質不足だね
プロテインでタンパク質クイックチャージを☝️— ロジック@シリコンバレー (@logicdiet) July 14, 2020
もし以下の項目が1つでも当てはまれば、あなたはタンパク質が不足している可能性があります。
これって実はタンパク質不足のサインでは? 事前チェックリスト
- 何かと疲れやすい
- 貧血気味でクラクラする
- なんだか集中力が続かない
- 思うようにダイエットが進まない
- 運動しているのに体力が落ちてきた
- 今まで行えた動作をうまく行えなくなる
- ちょっとしたことでもイライラしてしまう
- しっかり寝ているはずなのに寝た気がしない
- 髪の毛がガサガサして切れやすく抜けやすくなる
- 肌や爪がガサガサ、髪にツヤはハリがなくなってきた
- ボーっとしてしまうことが増えた、思考力が低下してきた
一見すると食事とは関係ないだろうと思えるような心身のトラブルも、実はその根本原因がタンパク質の不足が招いている可能性があります。
なぜなら、カラダの機能をつかさどっているのがタンパク質だからです。
タンパク質不足のサインを見逃してしまうとダイエットがうまくいかないばかりか、ココロとカラダの健康にも大きな影響を与える可能性もあります。
タンパク質の主なはたらき
タンパク質は私たちのカラダにとってどのようなはたらきをしているのでしょうか。
タンパク質(英語でProtein:プロテイン)は三大栄養素のうちの1つで、ギリシャ語のProteus(もっとも重要なもの、一番大切なもの)が語源となっています。
まさに、タンパク質は人間の体を形成する重要な役割を果たしています。
タンパク質の主なはたらき
- 筋肉・骨・歯をつくる
- 皮膚・髪の毛・爪をつくる
- 血管・血液をつくる
- 酵素をつくる
- ホルモンをつくる
- 抗体(カラダに入ったウイルスや細菌をカラダから追い出すための物質)をつくる
私たちのカラダを構成するすべての細胞はタンパク質を材料にして作られています。
東京理科大学で分子生物学を研究している武村春樹教授によると、カラダを構成するタンパク質には大きく分けて3つの分類があります。
カラダを構成するタンパク質
- 収縮タンパク質
- 構造タンパク質
- 機能タンパク質
収縮タンパク質
私たちのカラダを動かすには、筋肉を動かす必要があります。
この筋肉を構成するタンパク質が「収縮タンパク質」です。
筋肉はいくつもの筋細胞が集まって「ひとつの巨大な細胞」のように振る舞う、いわば巨大なゴムのようなものだと言えます。
この巨大なゴムは、小さなゴムが集まってできたもので、小さなゴムの1つ1つは「筋原繊維」と呼ばれるタンパク質でできた繊維です。
この筋原繊維をつくる主なタンパク質である「アクチン」と「ミオシン」が収縮タンパク質と呼ばれています。
<出典:筋肉とタンパク質(A)は筋肉の構造とサルコメアとの関係。(B)はミオシンとアクチンの形
武村政春 『たんぱく質入門』、ブルーバックス、2011>
構造タンパク質
私たちの体を構成するために使われるタンパク質を「構造タンパク質」といいます。
美容や健康に関する情報で「コラーゲン」という言葉がよく出てきます。
あなたも1度は聞いたことのある言葉ではないでしょうか。
このコラーゲンは構造タンパク質です。
コラーゲンは細胞同士の接着剤のようなはたらきをして、歯や骨を作る主成分でもあります。
以下に構造タンパク質の例を示します。
構造タンパク質 | カラダの構成要素 |
コラーゲン | 骨、皮膚、爪、歯、髪の毛 など |
クリスタリン | 目の水晶体 |
核タンパク質 | DNA、RNAの材料 |
細胞構成タンパク質 | 筋肉、内臓、皮膚 など |
機能タンパク質
私たちのカラダには血液が流れています。
血液は全身の細胞に栄養分や酸素を運ぶ、いわば「運河」のようなはたらきがあり、体内をめぐる主要な体液です。
このとき、酸素を全身に運んでくれる物質が「ヘモグロビン」。
実は、このヘモグロビンもタンパク質です。
このように、カラダの中で絶えずはたらいてくれるタンパク質を「機能タンパク質」といいます。
以下に機能タンパク質の例を示します。
主なはたらき | 機能タンパク質 |
栄養素や酸素の運搬 (輸送タンパク質) | ・アルブミン ・ヘモグロビン ・リポタンパク など |
情報伝達に使うレセプターの構成成分 (受容体タンパク質) | ・インスリンレセプター ・ロドプシン ・LDLレセプター など |
酵素として代謝に使われる | ・消化酵素(アミラーゼ、ペプシン、トリプシンなど) ・代謝を行う酵素 |
生体の防御に関与 (生体防御タンパク質) | ・抗体 ・補体 ・フィブリノーゲン(血液凝固) ・免疫グロブリン など |
ホルモンとして代謝を調節 | ・インスリン ・グルカゴン ・成長ホルモン など |
アミノ酸の貯蔵 | ・アルブミン など |
参考
*レセプターとは、情報を伝達する物質を受け取る構造をしているタンパク質で、いわば「鍵」と「鍵穴」のような存在
*代謝とは、カラダの中で起こる様々な化学反応のこと
このように、タンパク質は私たちのカラダを構成するうえで大切な物質です。
タンパク質が不足するとどうなるの?
では、タンパク質の摂取量が不足すると、どのような症状が現れるのでしょうか?
結論を述べてしまうと、タンパク質が不足すると痩せにくく太りやすいカラダになってしまいます。
また、タンパク質不足はダイエットの成功を阻むだけでなく、カラダに不調をもたらしてしまいます。
タンパク質が不足すると引き起こされる症状
- 貧血
- 疲れやすい
- 筋肉の減少
- 顔や手足のむくみ
- ストレスがたまる
- 肌や髪、爪のトラブル
- 集中力・思考力の低下
- 病気にかかりやすくなる
- リバウンドしやすいカラダになる
- 精神的に不安定になる・うつになりやすい
貧血
血液は私たちのカラダの中で全身に栄養や酸素を届けてくれる大切な体液です。
健康な血液を保つことがダイエットに限らず、健康なカラダを維持するための秘訣。
タンパク質の量が不足すると、めまいや息切れ、頭痛、肩こり、立ちくらみといった貧血の症状を引き起こしてしまいます。
なぜなら、血液中に含まれる各細胞に必要な酸素を運んでくれる物質「ヘモグロビン」もタンパク質からできているため、タンパク質不足はヘモグロビンの割合を崩してしまいます。
タンパク質の量が減り、ヘモグロビンの量が減ってしまうと、貧血の症状を引き起こしやすくなってしまいます。
疲れやすい
タンパク質が不足すると、疲れを感じやすくなってしまいます。
なぜなら、体内のタンパク質が不足すると筋肉を分解して必要なタンパク質を作り出します。
そのため、筋肉量が減ってしまうことで体力が落ちてしまいます。
また、神経伝達物質もうまく作られないため、やる気も低下してしまいます。
カラダを動かそうにも体力が落ちているために動きづらく、また気力もおちてしまっていることで、ドッと疲れを感じやすくなってしまいます。
筋肉の減少
歩く、座る、立つ、食事をする、ダイエットについて検索するなど、日常生活におけるすべての動作は、筋肉が伸びたり縮んだりすることによって成り立っています。
この筋肉を作っている材料となるものがタンパク質です。
木材や資源がなければ家が建たないのと同じで、タンパク質がなければ筋肉も作られません。
また、カラダの中でタンパク質が不足してくると、私たちのカラダは筋肉を分解してタンパク質(アミノ酸)を作り出します。
そのため、タンパク質が不足している状態が続くと全身の筋肉量が減ってしまいます。
筋肉量が減ってしまうと、今までできていた動作がうまくできなくなってしまったり、ダイエット後にリバウンドしやすくなったりします(詳しくは後ほど解説します)。
顔や手足のむくみ
体内のタンパク質が不足すると体内に水分がたまりやすくなるため、むくみやすくなります。
なぜなら、血液中の老廃物や体内の余分な水分をカラダの外へ排出する役目をもつ「アルブミン」が不足してしまうためです。
アルブミンは、食べ物から摂取したタンパク質が消化・吸収されて、肝臓によってアルブミンに合成されます。
このアルブミンもタンパク質からできています。
そのため、タンパク質が不足することでアルブミンの合成もうまくいかなくなり、アルブミンが不足することで体内の循環機能がうまくいかず、結果としてむくみやすくなってしまうのです。
ストレスがたまる
先ほどの神経伝達物質は私たちの「心」の状態を保つために使われています。
カラダの各部位で必要に応じて使われている化学物質が減ることでも「心」の状態が不安定になってしまいます。
この各部位で使われる化学物質は「ホルモン」と呼ばれています。
体内のタンパク質が不足するとホルモンのバランスが崩れます。
その結果としてイライラしてしまったり、ストレスがたまりやすくなったりしてしまいます。
なぜなら、ホルモンも体内のタンパク質を材料に作られている物質のためです。
ホルモンバランスを整えるためにもタンパク質は大切な栄養素です。
肌や髪、爪のトラブル
タンパク質の摂取量が減ると、髪がゴワゴワしてきたり、肌のハリやツヤが低下してきたりします。
これは「コラーゲン」が減ることで引き起こされる症状。
コラーゲンは細胞と細胞を結び付けたり、支えたりするために使われている、いわば、細胞同士をつなぐ接着剤のような存在です。
そのため、コラーゲンが不足すると肌の弾力が減り、うるおいとハリが低下してしまいます。
皮膚を構成するためのタンパク質が減ってしまうと新しい皮膚が作られないので、いつまでも古い皮膚が残るようになり、肌が荒れてしまう原因となってしまいます。
また、髪の毛や爪を作るもとになる細胞(髪の毛は手母細胞、爪は爪母細胞)は、コラーゲンを多く含む真皮と呼ばれる部位にあるため、髪や爪の栄養がうまく供給されるには、コラーゲンの質と量が重要です。
さらに、髪の毛や爪をつくるためには、「ケラチン」というタンパク質が必要です。
髪や爪、肌や皮膚もタンパク質がなければ作られないのです。
集中力・思考力の低下
私たちが集中力や思考力を得られるのは「神経伝達物質」と呼ばれる物質が脳に送られることによって決定します。
何か行動を始めるときに感じる「やる気」やリラックスした気分を感じることができるのも、すべて脳に送られる信号である神経伝達物質によって決まります。
そのため、タンパク質が不足すると信号が鈍ってしまうことで集中力や思考力が低下してしまいます。
なぜなら、これら神経伝達物質も体内のタンパク質を材料にして作られているからです。
ダイエットを始めて物事がうまくいかなかったり、知らず知らずのうちにボーッとしてしまったりするときは、タンパク質が不足しているサイン。
タンパク質が不足すると、神経伝達物質のバランスも崩れてしまい、集中力や思考力の低下を引き起こしてしまいます。
以下に関係する神経伝達物質を紹介します。
神経伝達物質 | 主なはたらき |
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン | ・元気づけたりやる気をだしたりする ・行動力と意欲はこのホルモンによって生み出される ・やる気ホルモンとも言われている |
β―エンドルフィン | ・楽しい、気持ちい、うれしいといった「快」の感情を強める ・痛みを和らげる鎮痛作用 ・ドーパミンを出やすくする(ドーパミンの抑制を抑制する) |
ドーパミン | ・快感を与える ・意欲向上、モチベーションアップ ・集中力の向上 ・記憶力の向上 ・抗ストレス効果(ストレスを打ち消す) ・報酬系ホルモンとも言われている |
ノルアドレナリン | ・感情の昂(たか)ぶりやイライラを生み出す ・物事へのやる気や意欲を高める ・食欲の低下 ・心拍数・血圧の上昇 ・注意力や判断力、集中力、作業効率を高める |
アドレナリン | ・カラダをすぐに動ける状態にさせ、運動能力を向上させる ・筋肉の収縮力をあげる ・呼吸数の上昇 ・消化器官の機能を制限 ・心拍数・血圧の上昇 ・集中力アップ、頭の回転を速くする ・血糖値を上昇させ、食欲を低下させる ・脂肪燃焼促進 |
病気にかかりやすくなる
カラダの中に侵入してきた細菌やウイルスと戦ってくれる白血球は、命を守り続ける免疫細胞です。
この免疫細胞もタンパク質によって作られています。
そのため、タンパク質が不足すると体力が落ち、免疫力も落ちてしまうので病気にかかりやすくなってしまいます。
痩せにくい(リバウンドしやすいカラダになる)
ダイエット中に限らず、タンパク質の摂取量が減ると痩せにくく太りやすくなってしまいます。
なぜなら、次のような連鎖が起きてしまうからです。
タンパク質不足が筋肉量の低下を引き起こす
↓
筋肉量が低下することでカラダの動作が鈍くなってしまう
↓
体の動きが鈍くなることで、消費するエネルギーも減ってしまう
↓
筋肉量が減っていて動きにくくなっているため、ますます動くことが億劫になってくる
↓
消費するエネルギーが余ってしまうことで太りやすく痩せやすい状態になる
また、筋肉は動作に使うときだけでなく、じっと動かずに何もしていなくてもエネルギーを消費しています。
これを基礎代謝といいます。
基礎代謝は自動車のエンジンに似ています。
速く走るためにはエンジンの回転数を上げて出力を増やします。
走っていないとき(アイドリング)でもエンジンがついていれば燃料を使い続けます。
さらに、エンジンの容量が小さければ小さいほどアイドリング時に使われる燃料も少なくなります。
軽自動車とスポーツカーを比較すると、どちらが多く燃料を使うか容易に想像していただけると思います。
筋肉は動作だけでなく何もしていない状態でもエネルギーを消費しています。
筋肉量が減ってしまうと基礎代謝も減ってしまいます。
そのため、今までは使い切れていたエネルギーが使い切れずに余ってしまい、余ったエネルギーは体脂肪としてカラダに蓄えられてしまいます。
このように、筋肉量が減ると痩せにくく太りやすいカラダになってしまいます。
これがダイエット後にリバウンドをしやすくなってしまう主な原因なのです。
精神的に不安定になる・うつになりやすい
タンパク質が不足した状態がしばらくすると、ちょっとしたことでもすぐにイラっときたり、逆に何に対してもやる気がなくなったりと精神のバランスが崩れることがあります。
これは、神経伝達物質である「セロトニン」が不足してしまうことで引き起こされます。
セロトニンの材料となる物質が「トリプトファン」というアミノ酸です。
このトリプトファンは体内で生成されないアミノ酸のため、食事で外から体内に取り込む必要があります。
アミノ酸はタンパク質を細かく分解した物質です。
そのため、タンパク質不足がトリプトファン不足を引き起こし、トリプトファン不足がセロトニン不足を引き起こすため、結果としてタンパク質不足は精神的に不安定な状態を作り出してしまうのです。
ダイエット中はどのくらいタンパク質を補えばよいのか?
タンパク質の摂取量が減ると、さまざまな症状が引き起こされることがわかりました。
では、1日にどのくらいのタンパク質を摂ればよいのでしょうか?
カラダは常に新しくなっている
私たちのカラダは細胞が集まってできた集合体であるといえます。
これらの細胞は常に入れ替わっています。
古くなったものは壊され、新しく作り直されます。
なぜなら、カラダの容量は増やし続けることができません。
そのため、古いものを捨てて新しいものを手に入れなければならないからです。
たとえば、両手に何かを持っているとき、それ以上は新しいものを持つことができません。
どちらかの手に持っているものを手放さない限り、新しいものを持つことができないのと同じです。
つまり、破壊と建設が絶えず繰り返し行われています。
古い細胞を壊すはたらきを「異化(カタボリック)」、新しい細胞を作るはたらきを「同化(アナボリック)」といいます。
普通の成人男性の場合、筋肉と皮膚とで32g、肝臓で23g、血清で22g、ヘモグロビンで8gのタンパク質が同化&異化されます。
他にも骨や心臓、肝臓などでの同化&異化が合計165gにもなります。
つまり一日に250g近くのタンパク質が、体内で毎日分解されています。
引用:山本義徳著、『タンパク質とアミノ酸 前編』
1日におよそ250g近くのタンパク質が体内で毎日使われていることになりますが、これらのうち6~7割は再利用されていると言われています。
つまり、残りの3~4割は体内に新しくタンパク質を補給してあげる必要があります。
タンパク質摂取量の目安
厚生労働省から2014年に発表された「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、成人男性の場合、1日に60gのタンパク質を摂取する必要があるとされています。
年齢(歳) | 男性 (g/日) | 女性(g/日) |
1~2 | 20 | 20 |
3~5 | 25 | 25 |
6~7 | 35 | 30 |
8~9 | 40 | 40 |
10~11 | 50 | 50 |
12~14 | 60 | 55 |
15~17 | 65 | 55 |
18~29 | 60 | 50 |
30~49 | 60 | 50 |
50~69 | 60 | 50 |
70以上 | 60 | 50 |
しかし、これらの数値は日常生活を送る上で必要最低限のタンパク質量を算出したにすぎません。
2016年に発表された『Nutrition and Athletic Performance』(*1)によると、理想的なタンパク質必要量は体重1kgあたり1.2~2.0gであるとしています。
そこでロジックダイエットでは計算しやすいように1日に必要なタンパク質の量は体重を2倍して求めることをおすすめしています。
体重の数値 × 2 (g)
たとえば、体重が50kgの人であれば、50×2=100gとなります。
詳しくは下記の記事で解説しています。
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1日に必要なタンパク質を補うためには、どのくらいの食材を摂取すればよいのでしょうか。
<出典:推奨されている成人男性・女性のタンパク質量、江崎グリコホームページ、『健康なカラダ作りはタンパク質から』より引用>
このように、単一の食材から必要なタンパク質を補うためには、その食材を大量に摂取しなければならず、現実的に難しいことがわかります。
また、仮に単一の食材から必要なタンパク質を補ったとしても、それに伴って余分なカロリーまで摂取してしまうことになり、タンパク質を積極的に補給しても、食べた物で太ってしまっては本末転倒。
これらを避けるためには、さまざまな食材をバランスよく組み合わせることで、上手にタンパク質を補うことが大切です。
タンパク質の不足を上手に補う4つのコツ
それでは、どのようにタンパク質を補っていけばよいのか、コツを押さえておきましょう。
タンパク質の不足を上手に補う4つのコツ
- アミノ酸スコアの高い食材を選ぶ
- 高タンパク・低脂質の食材を選ぶ
- 1回の食事で20g以上のタンパク質摂取を心がけ、小分けにして補給する
- プロテインを活用する
アミノ酸スコアの高い食材を選ぶ
タンパク質を補うのにもっとも確実な方法は、普段の食事からタンパク質を多く含む食材を意識して食べることです。
このときに注目したいのがアミノ酸スコアの高い食材です。
アミノ酸スコアとはアミノ酸のバランスを数値化したもので、タンパク質の栄養価がわかります。
いわば、タンパク質がどのくらい含まれているのか、試験をした場合のテスト結果のようなもの。
最高値は100で、バランスのいいものほど数値が上がります。
参考
必須アミノ酸は体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があります。
この必須アミノ酸の配合バランスを数値で表したものをアミノ酸スコアと呼んでいます。
それぞれのアミノ酸がすべて必要量を満たしていると、100点満点となり、アミノ酸スコアは100となります。
アミノ酸スコアが100になると「質」が高いタンパク質になります。
<出典:アミノ酸スコアの”桶の理論”、江崎グリコ株式会社「アミノ酸スコアとは。スコアが高い食品はどれ?」、2019>
アミノ酸スコアの高い食材として、肉類、魚介類、乳製品・卵、豆類・種実類、プロテイン(栄養補助食品)などがあげられます。
高タンパク・低脂質の食材を選ぶ
アミノ酸スコアの高い食材を選ぶことが大切であるとわかりました。
しかし、いくらアミノ酸スコアが高いからといって、何でもかんでも食べていてはうまくいきません。
そこで積極的に選びたいのが「高タンパク・低脂肪」の食品です。
なぜなら、いくらアミノ酸スコアが高く、タンパク質を多く含む食品を食べればよいのだろうと、何でもかんでも大量に食べていては、使い切れずに余ったエネルギーが脂肪としてカラダに蓄えられてしまうことに。
結果として逆に太ってしまう危険性を高めてしまいます。
そのため「タンパク質は多く摂取したいが、余計な脂肪などは少なくしたい」となるわけです。
高タンパク・低脂質を選ぶポイントは、どの部位を食べるのかによって決まります。
たとえば、肉からタンパク質を摂る場合、以下の順で高タンパク・低脂肪になります。
ヒレ[高タンパク・低脂質]
↑
むね(皮なし)
↑
もも
↑
かた
↑
ロース
↑
ばら[高タンパク・高脂質]
豚肉であれば、豚ばらよりも豚ロース、豚ももといった部位を選ぶことで余分な脂肪をとらずにすみます。
また、同じ食材であっても料理方法によって摂取するエネルギーが変わってきます。
たとえば、同じ鶏もも肉であっても、唐揚げで食べるより炒めたもの、炒めた物よりも焼いたもの、焼いたものよりもゆでたものといったように、調理方法によっても摂取するエネルギー(カロリー)が変わります。
調理方法は、一般的には以下の順で摂取するエネルギーは少なくなります。
調理法によるエネルギーの変化
1回の食事で20g以上のタンパク質摂取を心がけ、小分けにして補給する
1日におすすめのタンパク質摂取量は「体重×2g」です。
たとえば、体重が75kgの人であれば、75×2=150ですので、1日に150gのタンパク質を摂る必要があります。
これを1日3回の食事で補うとなると、1回当たり50gのタンパク質を摂取することになります。
しかし、1回の食事で50gのタンパク質を摂取するためには、大量の肉や魚、乳製品などを食べなければなりません。
1回の食事で50gのタンパク質を摂るためには・・・
- 牛乳なら約1500mlで1006kcal
- 木綿豆腐なら約750g(およそ2丁分)で540kcal
- 牛肉(サーロイン)なら約430g(ほぼ1ポンド)で1282kcal
これらの食事を毎回行うことは、食べることが辛いだけでなく、余分なカロリーも摂取してしまうことになります。
そこでおすすめなのが、タンパク質を1日5~6回に小分けにして摂取する方法です。
食事は1日3回(朝・昼・晩)摂るものだという固定概念を取り払ってしまうと、意外にも簡単にタンパク質を補うことができます。
たとえば、食事の回数を6回に分けると、以下のようなモデルができます。
150gのタンパク質を6回に分けて補うと・・・
- 朝食:食事から25g
- 午前10時のおやつ:プロテインで25g
- 昼食:食事から25~30g
- 午後3時のおやつ:プロテインで25g
- 夕食:食事から25~30g
- 就寝前:プロテインで25g
このようにタンパク質を小分けに補うことで、こまめに栄養を補給するので空腹を感じづらく、1回の食事で大量に食べてしまう、いわゆる「ドカ食い」を避けることもできます。
とくにダイエット中は空腹との戦いが辛いと感じてしまう人にはおすすめの方法です。
また、タンパク質をこまめに補給することで無駄な食欲を押さえてくれることがオックスフォード大学の研究によって明らかになっています。
詳しくは下記の記事にまとめました。
タンパク質20gの目安
1回で20gのタンパク質を摂取するためには、ある程度の目安を知っていると外出先でもタンパク質を補給しやすくなります。
簡単に1食で20gのタンパク質を補う目安としては、手のひらをつかった「手ばかり」で判断する方法があります。
1食の目安は、厚みも大きさも、指を除く手のひら1枚分です。
引用:一般社団法人 新潟県労働衛生医学協会 新潟健康増進財団ホームページより
外食などで「この食品はタンパク質がどのくらい含まれているかな?」と手のひらに調理された食品をのせることはできませんが、実際に手のひらにのせなくとも、自分の手のひらの大きさと比較することで、おおよその目安がわかります。
以下にタンパク質20gを摂取するための目安を記載します。
<出典:「改訂 見て覚える食品の栄養価 食品80キロカロリーガイドブック」、香川綾、女子栄養大学出版部より一部をグラフ化、ホエイプロテインについてはBULK SUPPLEMENTS.COM CLEAN & PURE BULK SUPPLEMENTSより栄養素を抜粋>
プロテインを活用する
食事以外でタンパク質を摂取する方法として、プロテインを活用することができます。
タンパク質のサプリメントは「プロテイン」と呼ばれていますが、そもそもプロテインはタンパク質を英語にしたときの言葉です。
プロテインはプロのスポーツ選手やオリンピック競技などでニュースになるドーピングのような薬物ではなく、良質なタンパク質だけをギュッと凝縮した食品です。
とくに、ダイエット中においては余計なエネルギー(カロリー)は摂取したくありません。
プロテインからタンパク質を補うことで、良質なタンパク質を無駄なカロリーを抑えながら摂取することができます。
たとえば、一般的なホエイプロテインであれば、付属のスプーンおよそ1杯半を水に溶かして飲むことで、およそ40gのタンパク質を摂取することができます。
参考
ホエイプロテインとは、牛乳から作ったプロテインです
同じ量のタンパク質をステーキから摂る場合、ステーキで有名な牛サーロインだと215g食べる必要があります。
このとき、タンパク質の摂取量はどちらもおよそ40gであるのに対し、プロテインのカロリーはおよそ200kcal、牛サーロインではおよそ483kcalと283kcalも差が出てしまいます。
牛サーロイン | ホエイプロテイン | |
タンパク質 | 40g | 40g |
必要量 | 215g | 52g |
総カロリー | 483kcal | 200kcal |
また、プロテインのもう1つのメリットは、簡単に手早くタンパク質を摂取することができる点です。
先ほどの例でいくと、プロテインなら水に溶かして飲むだけですので、時間にしたら1分もかかりません。
ところが、ステーキとなると、下ごしらえをしてフライパンで焼かなければ食べられないので、プロテインのように1分以内に食べられるとはいかず、タンパク質を摂取するまでに手間暇をかける必要があります。
さらに、プロテインは消化・吸収が早いので、胃腸にかかる負担も少ないです。
プロテインを活用するメリット
- 1回の利用でどのくらいのカロリーを摂取したのかが簡単にわかるため、摂取カロリーの管理がしやすい
- 高タンパク・低脂質な食品なので、余分なカロリーを摂取せずにタンパク質を補給できる
- 間食やおやつ、運動前や運動後、起床後や就寝前など小分けにタンパク質を補給しやすい
- 水や牛乳などに溶かして飲むだけなので、手軽に飲むことができる
- 消化・吸収がよいので、胃腸にかかる負担が少ない
また、プロテインを飲むと次のような効果が得られます。
プロテインを飲むメリット
- カロリーを抑えてタンパク質をしっかりと補給できる
- 運動と合わせて筋力アップ
- ダイエット効果
- ストレス解消
- 免疫力アップ
- 疲労回復
- 安眠効果
詳しくは下記の記事で解説していますので、合わせて確認してみましょう。
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まとめ:タンパク質不足に注意してこまめにタンパク質を補給しよう!
普段の生活でタンパク質が不足してしまうと、カラダの機能(パフォーマンス)が低下するだけでなく、痩せにくく太りやすいカラダになってしまうことがわかりました。
大切なことのでもう一度確認します。
タンパク質が不足すると引き起こされる症状
- 貧血
- 疲れやすい
- 筋肉の減少
- 顔や手足のむくみ
- ストレスがたまる
- 肌や髪、爪のトラブル
- 集中力・思考力の低下
- 病気にかかりやすくなる
- リバウンドしやすいカラダになる
- 精神的に不安定になる・うつになりやすい
とくにダイエット中に上記のような症状を感じた場合、タンパク質の摂取量が不足していることが考えられます。
せっかくダイエットに取り組んでいるのに、カラダの調子が悪くなっては元も子もありません。
タンパク質をしっかりと補って、痩せやすく太りにくい体づくりを心掛けることで心身ともに健康になります。
タンパク質の不足を上手に補うためにご紹介した4つのコツをもう一度おさらいしておきましょう。
タンパク質の不足を上手に補う4つのコツ
- アミノ酸スコアの高い食材を選ぶ
- 高タンパク・低脂質の食材を選ぶ
- 1回の食事で20g以上のタンパク質摂取を心がけ、小分けにして補給する
- プロテインを活用する
普段からタンパク質の摂取をしっかりと心がけましょう。