「EGCGってなんだ?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが「カテキンダイエット」「緑茶ダイエット」なんて言葉、聞いたことありませんか?
カテキンの中に含まれる「EGCG」(エピガロカテキンガレート)と呼ばれる成分は、ダイエットを効果的にサポートしてくれると期待が高まっています。
なぜなら、EGCGは「体脂肪を燃やしやすくする」「体脂肪をカラダにつきにくくする」の2つを同時にやってのけるからです。
この記事ではEGCGがダイエットに効果的である理由をエビデンスを参照しながら徹底的にひも解いていきます。
カテキンはダイエットに効果あるの?
はい、カテキン、特にEGCGはダイエットに寄与することが多数確認されています。
株式会社 伊藤園と東北大学の共同研究チームはEGCGが脂肪吸収抑制効果があることを解明(*1)しました。
<画像引用:~「ガレート型カテキン」が、食事の脂肪吸収を抑える~伊藤園 研究開発レポート>
EGCGを72.1mg含むお茶250mlを1日に2本、または3本を12週間飲んだところ、体重・BMI共に減少が確認され、お腹周りの脂肪断面積も優位な現象が確認されました。
では、なぜEGCGが体脂肪の減少に寄与できたのでしょうか?
なぜEGCGは体脂肪を減少させることができたのか?
エビデンスを探っていくと、大きく2つの作用が関係しているようです。
EGCGが体脂肪減少に寄与するワケ
- EGCGがカラダに体脂肪をためるのを防ぐ
- EGCGが体脂肪の燃焼を促進する
それでは、1つずつひも解いてみましょう。
カテキン豆知識
<画像引用:「カテキンの種類」日本カテキン学会 >
緑茶に含まれるカテキンは、主に以下の4種類が存在します。
- エピカテキン(Epicatechin: EC)
- エピガロカテキン (Epigallocatechin: EGC)
- エピカテキンガレート (Epicatechin gallate : ECG)
- エピガロカテキンガレート (Epigallocatechin gallate: EGCG)
これらの中でもっとも多く含まれているのがEGCG(エピガロカテキンガレート)で、緑茶中のカテキンのうち5~6割を占めています。
EGCGがカラダに体脂肪をためるのを防ぐ
使い切れずに余ったエネルギーは体脂肪として蓄積される
私たちは、食事をすることで栄養素を体内に取り込んでいます。
使い切れずに余ってしまったエネルギーは、非常用の蓄えとして脂肪細胞の中に貯蓄されます。
このとき、使い切れずに余った脂肪を血液を使って脂肪細胞まで運びますが、そのままでは運ぶことができません。
なぜなら、脂肪はいわゆる「油」なので、水(血液)には溶けないから。
そこで、脂肪は血液中でも運べるようにタンパク質でコーティングされたような状態で運ばれます(これは「リポタンパク質」と呼ばれています)。
余った脂肪を脂肪細胞の中に蓄えるには、タンパク質によってコーティングされた脂肪の中から脂肪酸を取り出し、それを脂肪細胞に取り込む必要があります。
このときに脂肪を分解して脂肪酸を作り出すのが「リポタンパク質リパーゼ」です。
リポタンパク質リパーゼによって取り出された脂肪酸が体脂肪として脂肪細胞の中に蓄積されます。
つまり、リポタンパク質リパーゼのはたらきが鈍くなれば、体脂肪が溜まりにくくなるのです。
EGCGはリポタンパク質リパーゼのはたらきを阻害する
EGCGを含むカテキンにはリポタンパク質リパーゼ(特にすい臓から分泌された膵リパーゼ(*2))のはたらきを阻害することが確認(*3)されています。
そのため、使い切れずに余った脂肪が体脂肪としてカラダに蓄えにくくなるのです。
EGCGは使い切れずに余った脂肪をカラダにため込みにくくするはたらきがあります。
EGCGが体脂肪を燃焼を促進する効果
EGCGが体脂肪の燃焼効率を上げてくれる理由は主に3つあります。
- ホルモン感受性リパーゼを活性化し脂肪酸を取り出しやすくする
- 脂肪動員ホルモンの持久力を高める
- ミトコンドリアで行われるβ酸化を促進して脂肪燃焼効率アップ
*エビデンスをご覧になりたい方は、下記をクリックしてください。
ホルモン感受性リパーゼの活性化
カラダに蓄えられた脂肪(主に中性脂肪:トリグリセリド)は、そのままではエネルギーとして消費することができません。
なぜなら、体内のエネルギーはミトコンドリアで燃やして作られますが、中性脂肪のままでは燃やすことができないからです。
ミトコンドリアは、例えるなら自動車のエンジン。
燃料を燃やして運動のエネルギーを発生させています。
その使われている燃料が中性脂肪を分解した「脂肪酸」なのです。
中性脂肪を燃料として使うためには、まずグリセリンと脂肪酸に分解する必要があります。
このとき、中性脂肪の分解を助けてくれるのが消化酵素である「ホルモン感受性リパーゼ」です。
EGCGはホルモン感受性リパーゼを活性化させるはたらきがあります。
ホルモン感受性リパーゼがEGCGで活性化され、体脂肪がグリセリンと脂肪酸に分解しやすくなり、脂肪燃焼効果が高まります。
脂肪動員ホルモンの分解を抑制
脂肪をエネルギーとして使うためには、ある「きっかけ」が必要です。
その「きっかけ」の1つが脂肪動員ホルモンの「ノルアドレナリン」です。
「ノルアドレナリン」は運動時やカフェインの摂取などがきっかけとなって分泌される物質で、カラダを興奮状態にするためのホルモンです。
脂肪動員ホルモンのノルアドレナリンは、脂肪細胞に貯めてある中性脂肪を取り出し、ホルモン感受性リパーゼを活性化させて脂肪酸を作りやすくしてくれます。
ところが、ノルアドレナリンの効果は長く続きません。
なぜなら、ノルアドレナリンはノルアドレナリンを分解する酵素によってその効果が次第に薄れてしまうからです。
EGCGはノルアドレナリンを分解してしまう酵素のはたらきを阻害する作用があります。
EGCGを摂取しておくとノルアドレナリンの持続時間が長くなり、脂肪燃焼効率の高い状態を長時間持続させることができます。
ミトコンドリア内での脂肪燃焼効率アップ
L-カルニチンによってミトコンドリア内に搬入された脂肪酸は、β(ベータ)酸化と呼ばれる化学反応を起こして、脂肪酸を燃焼させてエネルギーを作り出します。
このとき、ミトコンドリア内でβ酸化を促す酵素が用いられています。
EGCGはこのβ酸化を促す酵素を活性化させるはたらきがあり(*9)、ミトコンドリア内での脂肪燃焼効率がアップします。
EGCGはミトコンドリアでのエネルギー消費量を増加させることにより、体脂肪を低減する効果があります。
EGCGでダイエット中も抗酸化作用
EGCGがダイエットに効果的な理由がもう1つあります。
私たちのカラダは、ミトコンドリアで糖や脂肪酸を燃焼させて活動のエネルギーを作り出しています。
とくに、ダイエット中などは脂肪燃焼のために運動量を増やす必要があります。
そのため、酸素の消費量が増え、細胞が酸素によって被ばく(酸化)してしまう可能性も高くなってしまいます。
なぜなら、「燃やす」ためには「酸素」が必要だからです。
EGCGは強力な抗酸化作用(酸化を防ぐ作用)を持っています。
つまり、EGCGを摂取しておくと、ダイエット中に増えてしまう活性酸素による被害を最小限に抑えることが期待できます。
ダイエットで運動してないけど、EGCGを摂れば効果あるの?
このような方にもEGCGはおすすめです。
少し視点を変えてみましょう。
運動の意味をはき違えていませんか?
「運動する」と聞くと、カラダを鍛えたり、健康のためにカラダを動かすことだと思い込んでいませんか?
実は、日常生活もれっきとした立派な運動です。
日常生活も立派な運動である例
- 通勤・通学のために目的地まで歩く
- 朝ベッドから起き上がる
- スマホを手に取って使う
- 部屋の掃除をする
- 片づけをする
- 食事を作る
- 子供と遊ぶ
これ、れっきとしたカラダを使った動作ですよね?
参考
日常生活を送る上でカラダを動かす際に消費されるエネルギーのことをNEAT:Non-Exercise Activity Thermogenesis(非運動性生活熱産生)といいます。
簡単に言ってしまえば、日常の生活で行う動作がすべてNEATです。
EGCGを摂るなら、NEATを少しだけ意識することで、あなたの脂肪燃焼は加速できます。
なぜなら、NEATを意識するだけでダイエット効果があったことをハーバード大学が証明しています。
EGCGの副作用はあるの?
この記事を作成している2020年7月現在、EGCGによる副作用が原因とみられる症状についての研究報告は見つけることができませんでした。
2003年にフランスとスペインで、2007年にカナダで茶抽出物を含むサプリメントにおいて肝機能に影響を及ぼす可能性があると報告されている事例があります。
しかし、いずれの報告もEGCGと肝機能障害の因果関係を明らかにしておらず、EGCGが直接の原因であったことは認められていません。
また、茶抽出物に関する安全性評価試験も多く実施されていますが、いずれの試験においても安全性上問題ないことが報告*10~17)されています。
さらに、サプリメントにおいても厳しい審査を課すアメリカでは、FDA(米国食品医療品局:Food and Drug Administration)が茶抽出物は一般に安全と認められる食品リストに登録*18)しています。
EGCGによる副作用が報告された論文が見つかりましたら、記事をアップデートさせていただきます。
EGCGの効果的な摂取方法
それでは、EGCGの摂取方法について確認してみましょう。
EGCGは緑茶に多く含まれてる成分ですので、緑茶から摂取できます。
また、サプリメントからも直接EGCGを摂取できます。
ロジックダイエットでは、EGCGの摂取はサプリメントから行うことをおすすめしています。
なぜなら、緑茶を飲むことでカテキンを摂取することもできますが、緑茶からではどのくらいのカテキンを摂取したのかを把握することが難しいためです。
たとえば、鉛筆を買うとします。
2種類の箱があり、ひとつには中に何本鉛筆が入っているか記載されていない箱、もう1つには中に何本鉛筆が入っているかしっかりと記載されている箱があったとします。
あなたならどちらを買いますか?
ほとんどの場合、箱の中に何本鉛筆が入っているかしっかりと明記されている箱を買うはずです。
なぜなら、必要な本数が事前に把握できるからです。
これと同じで、EGCGのダイエット効果を最大限に高めるためには、どのくらいのEGCGを摂取したのか把握することが大切です。
EGCGの効果的な摂取量
ダイエットを目的とした場合、EGCGの推奨摂取量は1日500~1200mgを目安としてください。
EGCGのサプリメントの種類によっては、表記方法に違いがあります。
EGCGの含有量(◯◯g)が記載されているものと、全体の緑茶エキス(Green Tea Extract)含有量が記載され、そのうち何%がEGCGなのかを記載したものと2種類あります。
たとえば、私が使っているEGCGサプリメントの場合、緑茶エキス500mg中にEGCGが50%含まれていることになるので、正味のEGCG量は量は500×50%=250mgとなります。
EGCGの効果的な摂取タイミング
ダイエットは体脂肪を燃焼させることが目的になりますので、脂肪燃焼効率が最大化するような環境を作って上がることが大切です。
おすすめは、EGCG摂取のタイミングは運動する30~60分前に摂取することです。
すでに紹介した通り、EGCGの脂肪燃焼効果は、ホルモン感受性リパーゼを活性化し、脂肪動員ホルモンのノルアドレナリンの分解を阻害し、ミトコンドリアでの脂肪燃焼効率をアップします。
これらの流れは運動を行うことでより活発化しますので、運動前にEGCGを摂取しておくことで、脂肪燃焼効率を最大化する環境を作り出せます。
運動を行わない日であれば、体脂肪の蓄積を阻害するように食後30分以内にEGCGを摂取するのが良いでしょう。
運動の30~60分前、運動をしない日であれば食後30分以内にEGCGを摂取しましょう。
EGCGを試してみるなら、Now Foods社のEGCg 400mgがおすすめです。
緑茶ポリフェノールで若々しい毎日と美容をサポートしてくれます。
アメリカからの輸入品なので、送料なども考慮するとサプリンクスから購入するのがお得です。
カフェインとの併用
この記事の前半でEGCGのダイエット効果を研究した報告をいくつかご紹介しましたが、「カフェイン」を一緒に摂取した実験が多かったことに気付かれましたか?
カフェインには脂肪動員ホルモンの分泌を促進するはたらきがあるため、体脂肪を脂肪細胞の中からより多く引っ張りだし、脂肪酸に分解します。
EGCGの効果の観点から見てもカフェインとの相性はよく、EGCGとカフェインを併用することも、ダイエット中はおすすめです。
EGCGを活用して体脂肪を燃やしていこう!
ここまでEGCGのダイエット効果を確認してきました。
最後にもう一度おさらいしておきましょう。
EGCGが体脂肪減少に寄与するワケ
- EGCGがカラダに体脂肪をためるのを防ぐ
- EGCGが体脂肪の燃焼を促進する
EGCGと聞いても馴染みがなかったかもしれませんが、トクホのお茶があれだけ流行ったのには、カテキン、とくにEGCGが影の立役者だったのです。
ただ、よく「サプリメントを摂っているから痩せる!」と勘違いしている方もいらっしゃるようですが、その考え方は全く正しくありません。
サプリはあくまでも補助食品。
脂肪燃焼には通常の食事の管理と適度な運動が欠かせません。
ダイエットは食事管理と適度な運動を軸にプランを考えていくのが最速・最短・リスクゼロの方法です。
この記事で紹介した使用方法を守り、EGCGをダイエットに取り入れて、あなたの脂肪もガンガン燃やしてみるのもありです。