あなたは寝酒する人ですか?
寝酒とは眠るために飲むお酒のことをいい、欧米では「ナイトキャップ」といって一般的な風習となっているようです。
たしかに、仕事や人間関係のストレスなどを感じたときにお酒を飲むと、ストレスが発散されます。
アルコールは不安を抑えたり、精神の緊張をほぐしたりとリラックス効果もあるので「お酒を飲んだ日は寝つきが良い」と感じている人も多いのではないでしょうか。
とくに、気の合う仲間との飲むお酒は楽しくて、いつの間にか飲み過ぎていたという経験をされた方は多いと思います。
酔いもまわって、帰宅してすぐに気持ちよく寝てしまいたい衝動にかられてしまいます。
しかし、ここで酔いに任せてすぐに寝てしまうと、脂肪はカラダに溜まりやすくなってしまいます。
これはアルコールを分解する際に発生する「アセトアルデヒド」による弊害です。
この記事では「アセトアルデヒド」が原因で私たちのカラダが脂肪を溜め込みやすくなってしまう理由と、その対策法である「お酒を飲んだあとは、3時間以上たってから寝るようにする」について紹介していきます。
お酒を飲んだあとは、3時間以上たってから寝るようにすると、次のようなメリットが得られます。
- 睡眠の質が上がり、脂肪燃焼効率を上げてくれる
- 睡眠時に行われる脂肪分解のチャンスを逃さない
- 使い切れずに余ったエネルギーが脂肪にならずにすむ
それでは順を追って解説していきます。
寝酒が太るメカニズム
なぜ寝る前にお酒を飲むと太りやすい状態になってしまうのでしょうか。
その原因は主に以下の通りです。
寝る前にお酒を飲むと太りやすい原因
- 肝臓が代謝機能よりも解毒機能を優先させてしまうため
- アルコールが分解されると発生するアセトアルデヒドによる影響
- 睡眠中に分泌されるホルモンがうまくはたらかない
肝臓が代謝機能よりも解毒機能を優先させてしまうため
私たちのカラダは、アルコールを吸収する機能をもっていません。
そのため、カラダはアルコールを分解してカラダの外へ出そうとします。
このときに用いられる臓器が肝臓です。
肝臓の主なはたらきは次の3つです。
<画像引用:よくわかる!肝機能ナビ、「肝臓の働き」>
体内にアルコールが入ってくると、カラダにとってアルコールは有害なので肝臓はアルコールの解毒を最優先に行います。
そのため、代謝機能はアルコールの解毒が終わるまで行われません。
代謝機能は食べ物から摂取したタンパク質・脂質・炭水化物を分解してエネルギーに変換してくれる作用です。
代謝が行わないとエネルギーが消費されませんので、余ったエネルギーは脂肪となってカラダに蓄えらやすくなってしまいます。
つまり、アルコールの分解が終わるまで代謝機能は行われません。
このときに使い切れずに余ったエネルギーは脂肪としてカラダに蓄えられてしまいます。
お酒を飲むと代謝量(カラダのエネルギー消費量)が落ち、すでに食べ物から摂取したエネルギーが使われずに余ってしまい、脂肪として蓄えられてしまうのです。
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アルコールが分解されると発生するアセトアルデヒドによる影響
体内にアルコールが入るとカラダはどのような対応をするのでしょうか。
体内に摂取されたアルコールの大部分(約80%)が腸で吸収されます。
血液中にアルコールが吸収されると、大部分が肝臓へと送られてきます。
肝臓は、3つのステップを経てアルコールを体外へと排泄します。
体内に吸収されたアルコールは「アセトアルデヒド」に形を変え、その後「酢酸」になります。
分解された酢酸は血液によって全身の筋肉や脂肪組織に分配され、最終的には水と二酸化炭素に分解されて排泄されます。
アルコールが「アセトアルデヒド」に形を変えると、アルコールの10倍以上も人体にとって有害であると言われています。
このアセトアルデヒドが解毒される前に寝てしまうと、脂肪分解のチャンスを逃してしまうのです。
それでは、このアセトアルデヒドがどのようにダイエットの邪魔をするのか、例を上げて見ていきましょう。
アセトアルデヒドと神経の関係
たとえば、二日酔いや頭痛など、飲酒したときにカラダに現れる症状があります。
お酒を飲んだことがある方なら一度は経験されたことがあるかと思います。
これは、アセトアルデヒドが血液中に残留することで引き起こされる症状のひとつです。
アセトアルデヒドが血液中に含まれていると、酸素を多く取り込もうと血管が拡張するので、脳内血管の周りにある神経を刺激することで頭痛が引き起こされます。
飲んだあとに顔が赤くなるのも、アセトアルデヒドによって血管が拡張することで起こります。
この有害物質アセトアルデヒドが体内に増えると、有害物質を早く排泄しようと、カラダの機能が活発になります。
このときに刺激されるのが「交感神経」です。
参考
交感神経とは、自分の意思ではコントロールすることができない神経である「自律神経」の1つで、心臓の鼓動を早く動かす、汗が分泌されるなど、カラダが興奮した状態を作り出す神経です。
一方、交感神経と相反するはたらきをするのが「副交感神経」です。
カラダを落ち着かせ、ゆったりとした状態を作り出してくれます。
たとえば、睡眠時は興奮状態を抑えてカラダを休めようとします。
また、食事をしているときを想像してもらえばわかるように、食事中も落ち着いていると思います。
食事中は食べたものを消化するために、胃酸がたくさん分泌されて腸のはたらきが活発になります。
つまり、副交感神経はカラダを落ち着かせ、リラックスした状態を作ると共に、摂取した食物を消化するための機能を活発化するはたらきがあります。
神経系の種類 | 機能・主なはたらき |
---|---|
交感神経 |
|
副交感神経 |
|
寝たあとは副交感神経が優位にはたらきます。
このときに発生するアセトアルデヒドによって交感神経が刺激されることにより、眠りが浅くなる、つまり睡眠の質が下がってしまいます。
お酒を飲んだあとは寝付きがよく、すぐに寝ることができたのに途中で目が覚めた経験をしたことがある方も多いと思います。
これは、アセトアルデヒドが交感神経を刺激したことによって浅い眠りになり、そのときに受けたちょっとした刺激に反応して起きてしまうためです。
睡眠の質が下がってしまうと、後述する成長ホルモンの機能がうまくはたらかない状態を作ってしまいます。
アルコールを分解するときに発生するアセトアルデヒドの影響のため、睡眠の質が落ち、成長ホルモンの分泌がうまく行われなくなってしまいます。
睡眠中に分泌されるホルモンがうまくはたらかない
睡眠時に分泌されるホルモンのはたらきがうまく行われないと太りやすい状態になってしまいます。
ホルモンとは、体内で行われる化学反応で使われる物質で、カラダのいろいろな機能を調整するはたらきがあります。
睡眠時に影響を受けるホルモンは主に次の2つです。
- 成長ホルモン
- コルチゾール
成長ホルモンのはたらき
睡眠の質が落ちると、成長ホルモンの分泌量が少なくなってしまいます。
グロースホルモン(成長ホルモン)がもっとも多く分泌されるのも、最初のノンレム睡眠が訪れたとき。この一番深いノンレム睡眠の質が悪かったり、外部から阻害されたりすると、グロースホルモンは正常に分泌されない。
引用:西野清治『スタンフォード式 最高の睡眠』、サンマーク出版、2017
成長ホルモンの分泌が落ちると、脂肪燃焼効果が低下します。
成長ホルモンには脂肪を分解する作用があるので、成長ホルモンが足りないと「メタボ」になってしまいます。逆に「メタボ」の人は成長ホルモンが出にくくなっています。
引用:日本医科大学老人病研究所疫学部門 教授 南 史朗「成長ホルモンの話」、『街ぐるみ認知症相談センター Newsletter』、Vol.3 September 2011
睡眠の質が悪く、成長ホルモンがうまく分泌されないため、寝ている間の脂肪燃焼効果が下がってしまうことで痩せにくく太りやすい状態を作り出してしまいます。
コルチゾールのはたらき
睡眠中には「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。
コルチゾールは睡眠中に「グリコーゲン」を代謝してエネルギーを作り出してくれます。
グリコーゲンとは、一言で言ってしまえば肝臓や筋肉に蓄えられる「一時保存エネルギー」です。
グリコーゲンの分子は、グルコース(ブドウ糖の英語読み)が数珠のようにいくつも連なって、枝分かれしながらまとまった構造になっています。
そのため、グリコーゲンはすぐにエネルギーへ変換することができます。
睡眠中は食べ物がカラダに入ってきませんが、心臓や脳など、寝ている間にも活動する臓器を動かすためのエネルギーを確保しなければなりません。
コルチゾールはグリコーゲンを使って寝ている間の活動のエネルギーにしています。
しかし、前述の通り、アルコールが体内にあるときは解毒作用が最優先で行われるため、食べ物から摂取したエネルギーの代謝機能は低下してしまいます。
カラダがエネルギーを消費するには優先順位があり、食べ物から摂取したエネルギーが真っ先に使われるため、コルチゾールがせっかくグリコーゲンを代謝しようとしても、グリコーゲンは使われずにまた貯蔵されます。
肝臓内のグリコーゲン量が減少すると、脂肪分解が促進されることが筑波大学の研究から確認されています。
引用:Nature Communications, 2013
個人差もありますが、体内に摂取された食物が消化されるには最低でも3時間は必要とされています。
そのため、就寝前3時間以内に体内に食べ物が消化されずに残っていると、睡眠中に分泌されたコルチゾールは、グリコーゲンを燃料として使うことができずに、体内にエネルギーを残してしまいます。
残ったエネルギーは脂肪としてカラダに蓄えられます。
体内にアルコールが残っている時は肝臓の代謝機能の低下に合わせて、コルチゾールによるグリコーゲン消費が落ちてしまうため、脂肪分解のチャンスを逃してしまうことになります。
具体的な対策
寝る前のお酒が太るメカニズムがわかったところで、具体的な対策を考えてみましょう。
要は、アルコールが分解される前に寝てしまうことが根本原因なので、アルコールが分解されるのを待ってから寝ればよいのです。
とはいうものの、お酒を飲んだあとは気持ちがよく、ウトウトと眠りやすくなるのも事実。
この気持ちよさに任せて寝てしまうと、せっかくのダイエットが台無しになってしまいます。
では、お酒を飲んだあとにすぐ寝ないようにするにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、実際に私が試行錯誤の上に見つけたお酒を飲んだあとすぐに寝ないように我慢できた方法を紹介します。
個人差もあると思いますが、このいずれかの方法なら、たいていの場合3時間は我慢できると思います。
この記事を読んだ直後からぜひ実践してください。
お酒を飲んだあとの、あのウトウトに勝てるものがダイエットを制するといっても過言ではないでしょう。
チェックリスト
- 飲み終わったあとは、とにかく大量の水を飲む
(飲んだお酒の量以上の水を飲むと効果絶大でした) - 水を飲むと苦しくなるが、それでもとにかく水を飲む
- 話し相手を見つけて、とにかく話しまくる
- 話し相手がいないときは、夢中になれること(ゲームが好きな人はゲームなど)を始める
- 少しだけ・・・と絶対に横にならない 横になったら「太ること確定だ」と思え!
- 「今寝たら太るぞ!」と自分に唱え続ける
- いよいよ落ちそうだと思ったら、落ちる前にスマートフォンや目覚まし時計などで5分後にアラームをセットしておく
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どうしても眠気に勝てない人は…
なるほど、お酒を飲んだ後にすぐ寝なければアルコールが分解されるので太るリスクが減ることはわかりました。
ただ、飲んだ後は気持ちよくて眠くなりますよね。
あのウトウトに任せて寝たときの寝つきの良さも知っています。
そう「眠いものは眠い」のです。
寝酒で太る原因は肝臓に負担をかけてしまうことが主な原因。
ならば、事前に肝臓をケアしてあげることも寝酒で太らないポイントになります。
肝臓の機能をサポートしてくれるのに効果的なのが「ウコン」です。
メモ
ウコンに含まれるクルクミンが肝機能の活性化をし、肝臓の「代謝」「胆汁の分泌」「解毒」のはたらきを手助けしてくれます。
今ではコンビニでもウコンドリンクなど手軽に購入できるようになっていますが、その中でもおすすめなのが、有効成分クルクミンが多い「ゲンキウコン」。
世界に約50種類以上も存在する「ウコン」。その違いは、ウコンにしか含まれないクルクミンという成分の量です。
このクルクミンは、疲れや二日酔いに力を発揮するとされ、ゲンキウコンはこのクルクミンが最も多いと言われているインドネシア産のクスリウコンを使用。
秋ウコンの約14倍!春ウコンの71倍!のクルクミンが含まれており、二日酔いだけでなく、美容の悩みや健康が気になる方にも、ご利用いただける万能成分です。
コンビニのウコンドリンクで効果を感じられない人は「ゲンキウコン」を試してみてはいかがでしょうか?
もう寝酒で太るとは言わせない!ポイントまとめ
最後に、「お酒を飲んだあとは3時間以上たってから寝るようにする」理由を簡単におさらいしておきます。
お酒をのんだあとは、最低でも飲んだあと3時間以上経過してから寝るようにするだけで
- 睡眠の質が上がり、脂肪燃焼効率を上げてくれる
- 睡眠時に行われる脂肪分解のチャンスを逃さない
- 使い切れずに余ったエネルギーが脂肪にならずにすむ
といったダイエットに効果的なメリットを得ることができます。
お酒の力もあり、飲んだあとはウトウトと眠くなります。
たしかに、あのウトウトした状態で寝ると、寝つきもよく気持ちがよいですが、そこはぐっと我慢して3時間以上起きていましょう。