あなたはダイエットに成功しない理由を知っていますか?
実は、痩せたいと意識しすぎると逆に痩せにくくなってしまう脳科学的な理由があるのです。
真面目な人ほど「痩せたい」と意識すると「よし、もっと体重を落として痩せなくては」と躍起になって(ムキになって)頑張り始めると思います。
ところが、なかなか痩せられない現実に直面され「ダイエット失敗か。。。」と考えてしまいますよね。
これはオカルトでもスピリチュアルでもなく、量子論(量子力学)や脳科学といった科学的な根拠に基づいてロジック(論理的)に説明することができます。
この記事では、痩せようと意識しすぎてしまうとダイエットに成功しない本当の原因について解説し、あなたがどのような心構えでダイエットに臨めばよいのか、潜在意識を味方につける方法をお伝えします。
ダイエット成功のカギを握るのは意識の使い方
それでは、あなたのダイエット成功のカギを握る「意識の使い方」について、学校では教えてくれない意識のコツについて順を追って解説していきます。
痩せようと強く意識する=痩せていない自分を確定させている
次の日に早く起きなければならない前日の夜に限って、なかなか寝付けなかった経験をしたことがある人は多いはずです。
「早く寝なければ」と思えば思うほど、なかなか寝られない状態が続いてしまいます。
なぜ成功させたいことに限って、成功しないことの方が多いのでしょうか?
ダイエットでも同じ現象が起こります。
ダイエットを開始するにあたって「よし、痩せるぞ!」と意気込むことは決して悪いことではありません。
むしろ、モチベーションを上げて取り組むには良いことです。
ところが「痩せよう」と意識しすぎてしまうと、なかなか寝付けない状態と同じで、痩せることが難しくなってしまいます。
なぜなら「痩せよう」と強く意識することは、潜在意識が「痩せていない自分」を確定してしまうからです。
そのため、痩せていない自分を現実化するための行動を知らず知らずのうちにとってしまうことがダイエットでつまづいてしまう理由です。
顕在意識と潜在意識の違い
ここで潜在意識という言葉が出てきました。
顕在意識や潜在意識といった言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
潜在意識は無意識とも呼ばれています。
私たちが持っている意識については、よく海に浮かぶ氷山の一角として例えられています。
参考
海面に浮かんで見える部分が顕在意識、海面下に沈んで見えない(隠れている)部分が潜在意識です。
海面に浮かんで見える部分はほんの一部で、ほとんどは海面下に隠れてしまっています。
割合にして顕在意識(目に見える部分)が3~10%、潜在意識(隠れている部分)が90~97%と言われています。
海面に浮かぶ氷山と同じように、顕在意識は見る(意識する)ことができますが、潜在意識は見る(意識する)ことができません。
今読んでいただいているこの記事は、あなたの顕在意識が「この記事を読もう」と判断して読んでいる訳です。
顕在意識は、五感(見る、聞く、触る、におう、味わう)を使い、判断する、選択する、悩む、不安に思う、希望を抱くなど、あなたが自分自身でコントロールできる「理性的なもの」を管理しています。
潜在意識は、それ以外のすべてを管理しています。
たとえば、寝ているときにも心臓が動いている理由は、潜在意識が心臓を動かす命令をあなたの意志に関わらず出しているからです。
「今、心臓を動かしている」と意識できる人はほとんどいないと思います。
また、潜在意識は過去に起きた出来事や考え方、自分の行動パターンなど、感覚的な印象をすべて記憶し、膨大なデータを24時間・365日休むことなく管理しています。
歩くときに、右足を出し、カラダのバランスを崩さないようにするために同時に左手を突き出し、次に左足を出し……と意識しながら歩いている人はいないはずです。
何も意識せずに歩くことができるのも潜在意識のおかげ。
いわば、飛行機の自動操縦モードのようなものです。
一言でいえば「本能的なもの」をすべて管理しているのが潜在意識です。
さらに、潜在意識は批判・判断するといった機能を持ち合わせていません。
そのため、自分では何も判断していなくても突然現れるもの、たとえば、寝ているときに見る夢や、直感・ひらめきを感じるもの潜在意識によるものです。
氷山のイメージ図からもわかる通り、意識全体の大部分を潜在意識が占めています。
そのため、顕在意識と潜在意識に違いが生じた場合、割合の大きい潜在意識が優先されてしまいます。
強く意識しすぎると潜在意識が現実を確定させようと動き出す
では、実際に強く意識しすぎると潜在意識がとる行動について見ていきましょう。
「痩せたい!」「痩せるべきだ!」とダイエットについて考えることができるのは、顕在意識です。
そもそも、なぜ「痩せたい」と思うことができるのでしょうか。
その裏側には明確な理由が存在しているからです。
ポイント
「痩せたい」と思うためには、心のどこかに「太っている」という意識があるはずです。
あなたは「現状のカラダが理想とする体型からかけ離れている」と考えていたり「実際に太ってしまっている」と思い込んでいたりする場合、周りの環境や他人と比較して「太っているから痩せるべきだ」と判断して「痩せたい」と意識しているのです。
太っているという意識がない限り、痩せたいと思うはずがありません。
たとえば、あなたがバスケット選手やバレーボール選手のようにものすごく背が高い人だったとしましょう。
そのときに、他人から「やい、このチビ!」と言われたとしても、怒ることもなく、何も気にしないと思います。
逆に「この人は何を言っているのだろう」と不思議に思ってしまうかもしれません。
これは、あなたの背丈が高いという事実をあなたの顕在意識と潜在意識が同じ認識をしているため、事実と違うことを言われても何も気にならないのです。
ところが、普段は背丈のことなど気にしていないと思っていても「やい、このチビ!」と言われてムカッとくる場合、あなたの潜在意識が「私は背がひくいかもしれない」と心のどこかで無意識のうちに考えてしまっているからです。
このように、「痩せたい」「ダイエットしたい」と思うことは、普段は意識していなくとも、心のどこかで「太っている」と意識してしまっていることになります。
つまり
太っている
↓
だから痩せたい
「太っている」の部分は、心のどこかにある意識ですから無意識に考えている部分です。
ただ「痩せたい」は意識できます。
このとき、顕在意識は「痩せたい」と意識していますが、潜在意識は「太っている」と意識していることになり、顕在意識と潜在意識が同じ認識をしていないことになります。
また、先ほども紹介したとおり、潜在意識は良し悪しの判断ができません。
そのため、潜在意識が「太っている」と意識してしまうと、その状態を確定させるための行動を無意識のうちに行ってしまいます。
すると、顕在意識は「痩せたい」と意識していますが、潜在意識は「太っている」=「痩せてはいけない」と意識することになり、顕在意識と潜在意識に違いが生じてしまいます。
このような状況になると、意識の大部分を占めている潜在意識が優先されてしまいます。
ポイント
ゆえに、強く「痩せたい」と意識すればするほど、潜在意識が「痩せてはいけない」と意識している部分も強くなるため痩せないための行動を知らず知らずのうちにとってしまうのです。
「〇〇したい」に隠れている「でも……」
一方で「痩せたい」「ダイエットしたい」と意識し始めると、あなたは理性的な行動をとり始めます。
顕在意識は判断したり、選択したりできる反面、悩む、不安に思うといったことまで考えてしまいます。
なぜ「痩せたい」「ダイエットしたい」とポジティブな考えを抱いているのに、悩んだり不安に思ったりとネガティブなことまで考えてしまうのでしょうか。
その理由は、私たちの本能に刻まれたプログラムに秘密があります。
「痩せたい」と考え始めると、痩せるための行動をとり始めることになります。
これは、今あなたがいる快適な領域から抜け出すことを意味しています。
たとえば、普段はまったく運動しない人がダイエットのために運動を始めるとします。
この場合「運動しない」という環境がその人にとっては快適な領域です。
「運動をする」ということは、快適な領域から外れて新しい領域に足を踏み入れることになります。
この快適な領域を「コンフォートゾーン」といいます。
いわば、野生動物の縄張りです。
縄張りの中であれば、すでに体験していることがほとんどのため、安心して物事を行うことができます。
また、その場所や環境に親しみがあるともいえます。
縄張りの中であれば、命に危険がおよぶ可能性が低いため、不安になることなく食事をする、寝るといった行動をとることができます。
ところが、一歩縄張りの外にでてしまうと、自分の知らない領域に足を踏み入れることになります。
縄張りの外では未体験のものが多く、親しみをもてません。
そのため、新しいものに対して警戒するのは当然で「大丈夫だろうか」「うまくできるだろうか」といった不安が伴ってきます。
これは、私たちがいかに長く生き延び、子孫を残していけるかを突き詰めていった結果、身につけた本能といえます。
つまり、「痩せたい」と意識することは、今いる快適領域であるコンフォートゾーンを抜け出そうとしているわけです。
コンフォートゾーンの外に飛び出そうとすると、不安や怖れが表面化されます。
この不安や怖れを使って、あなたを今いる快適領域内に留めようとホメオスタシスの抵抗が始まります。
参考
ホメオスタシスは恒常性維持機能と呼ばれる本能です。
そのため「痩せたい」のうしろには「でも・・・」と、やりたくない理由がいくらでも隠れているのです。
ホメオスタシス(恒常性維持機能)の抵抗とは
ホメオスタシスという言葉が出てきました。
これは一体何なのでしょうか。
簡単に言ってしまえば、今ある状態(カラダ内部の環境)を保ち続けようとするカラダの反応です。
私たちのカラダは、体温が常に約37℃で保たれています。
寒くなれば筋肉を震わせて、熱を発生させ体温を上昇させようとし、暑くなれば汗をかいて気化熱(汗が蒸発するときに熱が奪われる現象のこと)を使ってカラダを冷やそうとします。
これらは、すべてホメオスタシスのはたらきによるものです。
また、食べ物が必要になれば、空腹感を感じさせ、体内の水分量が減ってくれば、のどの渇きを促してくれるのもホメオスタシスのおかげです。
寒いときに震える、暑いときに汗をかく、お腹がすく、のどが渇くといったことは、意識しないで起こること。
つまり、これらも潜在意識が管理しています。
これだけを見れば、ホメオスタシスは私たちにとって大切なものであり、なくてはならないものだと理解できます。
しかしながら、いざ新しいことに挑戦しようとしたとき、ホメオスタシスはあなたにとって最大の敵となって現れます。
「痩せたい」と意識して、コンフォートゾーンを抜け出すため、ダイエットに関連する行動を取り始めます。
はじめのうちはモチベーションも高く、意気込んでダイエットに取り組めると思います。
ところが、1日、2日と日が経つにつれて徐々にモチベーションも下がってきます。
すると、私たちの脳は何かしらの理由や言い訳を見つけて、ダイエットに関することを行わないように仕向け始めます。
- 今日は雨が降っているので、外を歩けないな
- 飲み会に誘われてしまったから、ダイエットは明日からまた行えばいいや
- なにやらカラダがだるい気がするから、今日は運動するのを控えておこう
- 今日は残業で遅くなってしまったから、運動するのは明日でいいやを歩けないな
一見すると、まっとうな理由のように見えます。
しかし、これらはすべて脳による言い訳です。
私たちの脳は言い訳の天才です。
いかにも正当に思える理由を作り出し、今いるコンフォートゾーンを抜け出そうとしている自分に現状を維持するよう訴えます。
実は、ホメオスタシスは体温を維持するといったカラダの機能だけでなく、心(物事の捉え方)にもはたらくのです。
あなたの意識(顕在意識)は、痩せることを良いことだと考えてダイエットに取り組んでいるはずです。
余分に溜め込んだ体脂肪は、肥満の原因となり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病になるリスクが高くなってしまいます。
また、プクプクと太ってしまったカラダは外見だけを見てもカッコいいカラダとは言えません。
「健康的なカラダを維持するためにダイエットをしよう」「カッコいいスタイルを取り戻そう」など、あなたの顕在意識は良いことを行っていると思っています。
ところが、先ほどもお伝えしたとおり、潜在意識は良し悪しの判断ができません。
注意ポイント
たとえあなたがカラダにとって良いことを行っていたとしても、今までの快適な環境が崩れようとすると、あなたの潜在意識は現状を維持させようとホメオスタシスがはたらき、いかなる理由を使ってでもコンフォートゾーンの中に留めようと抵抗を始めます。
これがホメオスタシスの抵抗です。
別の言い方をすれば、コンフォートゾーンを抜け出すとき、勢いよくコンフォートゾーンから飛び出せば飛び出すほど、引き戻される力も強くはたらきます。
いわば輪ゴムと同じです。
強く引っ張って手を離せば勢いよく元の状態に戻ります。
ホメオスタシスの抵抗も勢いよくコンフォートゾーンを飛び出すと強く抵抗してきます。
ホメオスタシスの抵抗は、あなたに新しい行動を取らせないようにするため、あなたが知覚すること(見たり、聞いたり、カラダが感じる感覚を刺激として受け取り、意味付けすること)自体をフィルターにかけて意識させないようにしてしまいます。
これは、脳の中にある毛様体賦活系がフィルターとなって、あなたが感じ取った情報をそのフィルターで遮断して意識できないようにさせてしまっているのです。
脳のフィルター:毛様体賦活系があなたのダイエットを邪魔している
あなたは毛様体賦活系という言葉をご存知ですか?
正式名称は脳幹網様体賦活系といい、英語では“Reticular Activating System”と言われていて、頭文字をとって“RAS”と表記されることもあります。
まずは脳の構造について見てみましょう。
私たちの脳は、大きく分けると次の3つの部位から成り立っています。
<画像引用:静岡県総合教育センター「あすなろ学習室」ホームページより>
- カラダが受け取った感覚を受信して、運動の命令を出したり、考えたり、記憶したり、意識する大脳
- 平衡感覚(運動しているときや重力に対して傾いた状態にあることを察知するはたらき)や、運動機能の調整などをつかさどる小脳
- 心臓を動かしたり、体温の調節や内臓の働きを調節したりする脳幹
脳幹は「間脳:かんのう」「中脳:ちゅうのう」「橋:きょう」「延髄:えんずい」の4つのパートから成り立っています。
それぞれの役割は違いますが、すべてをまとめて脳幹1つとして考えると、脳幹のはたらきは次の2つに大別することができます。
脳幹のはたらき
- 人間の声明を維持する
- 人間の意識を制御する
人間の生命を維持する
脳幹は神経(カラダの中で信号を伝達するための組織)の制御、ホルモン(カラダの特定の部位(細胞)でその機能を発揮させるために使われる物質)の分泌、内臓の働きの調整、血圧の調整、体温の調整、呼吸の管理といった生命が生きていくうえで欠かせない動作を24時間・365日休むことなく管理しています。
これらの動作はすべて意識することができません。
つまり、無意識で行われているものになります。
人間の意識を制御する
私たちが物事を考えたり、実際に何かしらの行動をする(各筋肉に動くように命令を出す)ことができる理由は大脳がいろいろなことを意識できるからです。
実は、大脳が活動することができるのは脳幹が大脳を活動させているからです。
つまり、いろいろなことが意識できるのは脳幹が意識を制御していると言えます。
参考
脳幹の中にはカラダから感じ取った刺激を大脳に送るための神経の束があり、この束を「毛様体もうようたい」といいます。
<出典:www.buzzle.com/articles/reticular-activating-system 毛様体賦活系に関する記事より日本語訳を追記>
痛みや何かを触ったときの感覚、そのときの温度(暖かいのか、冷たいのかといった温度を感じる感覚)、耳から入ってきた音の情報、目から入ってきた視覚情報など、すべての情報が毛様体を通過して大脳に送られます。
ところが、毛様体に送られてくる情報は情報量が莫大です。
そのため、すべての情報を処理するためには活動エネルギーも大量に必要となります。
すべての情報を処理してしまうと、私たちが摂取できる(食べ物から取得する)エネルギーでは追い付かなくなり、エネルギー不足となって死んでしまいます。
いわば、飢餓状態(きがじょうたい)となってしまうのです。
この生命の危機を避けるため、毛様体に送られてきた情報のうち、自分にとって必要な情報だけを選んで大脳に伝達するしくみが脳幹に備わっています。
別の言い方をすれば、自分にとってそれほど重要でない情報を遮断する機能を持っているといえます。
このフィルター機能が毛様体賦活系(以後、RASと表記)のはたらきなのです。
簡単に言ってしまえば、RASは興味のあるもの、自分が意識したものしか目や耳に入ってこないようにしているのです。
RASクイズ
突然ですが、RASについておもしろいクイズを行ってみたいと思います。
紙とペンを用意していたさい。
たとえば、普段毎日使っているスマートフォンや腕時計など、お気に入りのガジェット(道具や仕掛け、ソフトウエアなど)を思い浮かべてください。
そして、その実物を見ないでお気に入りのガジェットの絵を描いてみてください。
だいたい描けたなと思われたら、実物と照らし合わせて答え合わせをしてみましょう。
それでは、どうぞ。
・・・
・・・
いかがでしたでしょうか。
毎日使っているものなのに、意外とその絵を正確に描けないものです。
これはRASによる情報の遮断がはたらいているからです。
たしかに毎日使っているので毎日見ているはずです。
ところが、そのすべての情報を覚えているわけではありません。
これはRASが情報を遮断している良い例です。
もうひとつ例をあげてみます。
たとえば、スマートフォンを買おうと決めたとします。
どの機種にするか決めた途端に、今までは気にも留めていなかった周りの人のスマートフォンがよく見えるようになります。
とくに自分がほしいと決めた機種と同じものを使っている人に気付く機会が増えます。
これはRASによるフィルターが解除されて、そのスマートフォンに関する情報をあなたの大脳に届けるようになったからです。
話をダイエットに戻します。
「痩せたい」と強く思えば思うほど、無意識に「太っている」を強く意識してしまいます。
意識(顕在意識)と無意識(潜在意識)では、無意識が優先されるため、RASのフィルターにも「太っている」に関連するキーワードが知らず知らずのうちに設定されてしまいます。
そのため、太っていることに反する情報、つまり痩せるための情報はRASのフィルターによってすべて遮断され、たとえ痩せることに関する情報をあなたの目や耳がキャッチしていたとしても、あなたの大脳に送られなくなってしまうのです。
ゆえに、痩せることに関する情報を無意識のうちに見逃してしまうのです。
ここまで、痩せようと強く意識すると痩せていない自分を確定させてしまう理由について述べてきました。
簡単にまとめてみます。
痩せようと強く意識すると痩せていない自分を確定させてしまう理由
- 意識には2種類あり、自覚できるものが顕在意識、自覚できないものが潜在意識
- 意識(顕在意識)よりも無意識(潜在意識)が優先される
- 「痩せたい」と強く意識しすぎると無意識に「太っている」を強く意識することになる
- 「太っている」と強く意識されるとその状態を確定させるための行動が無意識に行われる
- 痩せようとすることは現状のコンフォートゾーンを抜け出すことになるので、ホメオスタシスに抵抗される
- ホメオスタシスの抵抗はあたかも真っ当に思える言い訳を作り出し、あなたのダイエットを全力で阻止する
- RASのフィルターによりどんなに痩せるための情報をキャッチしていても、あなたはそれに気づけない
このように、痩せようと意識することは結果として痩せないための環境を自ら作り出してしまっていることがわかります。
しかし「痩せたい」と考えることは決して悪いことではありませんし、この意識がなければダイエットを始めるきっかけを作ることすらできません。
ではどのようにすればすればよいのでしょうか。
次の章では具体的な対策を見ていきましょう。
ダイエットを成功させるための具体的な方法とコツ
ダイエットを成功させるには「痩せたい」から「痩せる」へ思考の転換を行う
「ダイエットしたい」「痩せたい」と思うことは、一言で言ってしまえば「願望」です。
願望はその実現を願い望むことですから、「痩せる」ことが現実のものとなるようによりよい事態の出現を心からほしいと思うことになります。
つまり、よりよい事態(痩せること)が起こればいいなと待っている状態とも言えます。
言わば受け身の状態です。
これは、自分から何かしらの行動をして痩せる状態を作り出そうとするのではなく、自然とそうなったらいいなと他から動作を受ける立場にいることになります。
そのため「痩せたい」と思うことは、本当にその状態が出現するのだろうかといった不安や疑問も出てきてしまいます。
別の言い方をすれば「痩せたい」と思い続ける限り「痩せられるだろうか」と無意識に考えてしまうことになります。
私たちの脳は無意識に考えていることもその状態を確定させるようにはたらきます。
つまり「ダイエットできるだろうか」「痩せられるだろうか」といった不安や疑問が確定されてしまいます。
これが痩せることがなかなか実現しない理由です。
このように、意識・無意識を問わず、あなたによって確定されたものが現実となってあなたの前に現れます。
端的に言えば、あなたが欲しい現実を確定させてしまえばよいのです。
あなたが欲しい現実は「ダイエットできるのだろうか」「痩せられるだろうか」といった不安や疑問ではなく、ダイエットが成功していること、つまり「痩せている状態」のはずです。
「ダイエットしたい」と思うのであれば、痩せていることを確定してしまえばよいので「痩せる」と決めてしまえばよいのです。
痩せると決めてしまうとあなたのカラダ(心)の中で次のような変化が生まれます。
- 顕在意識、潜在意識ともに「痩せている」状態を確定させるので、意識に食い違いがなくなる。意識の食い違いがなくなるので、顕在意識、潜在意識ともに「痩せている状態」を確定させるための行動をとり始める。
- 痩せるために現状のコンフォートゾーンを抜け出すことになるが、意識が「痩せている状態」を確定させることに焦点が定まっているので、今まで気づくことができなかったホメオスタシスの抵抗に気づくことができる。
- RASのフィルターが「痩せていること」にセットされているため、今までは無意識に見逃していた痩せるために必要な情報に気づくことができるようになる。
それでは、上記の変化がどのように起こっていくのか1つずつ確認していきましょう。
潜在意識があなたの味方になる
「痩せたい」から「痩せる」へ思考の転換を行うメリットの1つは、潜在意識があなたの味方になることです。
どんなに顕在意識が「痩せたい」と願っても、潜在意識が「ダイエットはしたくない」「痩せたくない」と意識していた場合は潜在意識が優先されるため、何をどうあがいても最終的には潜在意識によって「痩せていない」状態が確定されてしまいます。
痩せていない状態が確定されているのに、それを行動で埋めようとしてもなかなか埋めることができないわけです。
ところが「痩せる」と決めてしまうことで、顕在意識だけでなく潜在意識にも変化が生まれます。
痩せると決めることは痩せている状態を確定させることになります。
状態が確定されているため、あなたの潜在意識もその状態を確定させるための行動を無意識のうちに取り始めます。
また、潜在意識は判断する能力を持ち合わせていません。
ポイント
ゆえに、痩せている状態が確定されているのであれば、潜在意識はそのことを素直に受け止め、それに寄与する(貢献する)行動を取るようになります。
つまり、潜在意識が味方に付けば、今までは無意識に痩せないための行動をとっていたものが無意識のうちに痩せるための行動をとるようになるわけです。
まるで、今までは下りのエスカレーターを下から上に一生懸命駆け上がっていこうとしていたものが、自分の進行方向にエスカレーターが動き出すわけですから、痩せている状態を確定させるスピードが一段と早くなります。
潜在意識が味方になるメリットはまだあります。
それは「ホメオスタシスの抵抗に気づくことができる」ことです。
ホメオスタシスの抵抗を見破ることができる
痩せている状態を確定させるためにダイエットの行動を開始したあなたは、遅かれ早かれ、現状のコンフォートゾーンを抜け出すことになります。
コンフォートゾーンを抜け出すことは、あなたにとってみれば一大事です。
そのため、ホメオスタシスの抵抗が始まります。
今まではいくら痩せたいと願ってダイエットに寄与する行動を取っていても、ホメオスタシスの抵抗によってなかなか思うようにはいきませんでした。
これは、潜在意識が良し悪しの判断ができないために、とにかく現状を維持させなくてはと、潜在意識が本来の仕事を正直に行ってしまうためです。
ところが、痩せると決めてしまったあとは、あなたの意識は痩せている状態を確定することにコミットしているわけです。
参考
コミットするとは、結果を出すために最大限の貢献をすること、また約束すること。
別の言い方をすれば痩せる結果にコミットしているわけですから、それを実現するためのあらゆる行動を取るようになります。
たとえ痩せる結果にコミットしていたとしても、コンフォートゾーンを抜け出す行為自体はあなたにとって通常の状態ではありません。
体温が下がったら、カラダをブルブルと震わせてカラダを温め、体温を一定の温度に保とうとするはたらき同様、コンフォートゾーンから外れてしまったら、コンフォートゾーンの中に連れ戻そうとホメオスタシスは本来の仕事を行います。
ポイント
痩せる結果にコミットしているあなたは、ホメオスタシスの抵抗(やりたくない理由やさまざまな言い訳をあなたに投げかけてくること)に気づくことができるのです。
「今日はやりたくないな……」と思っても「あっ、今やりたくないって思ったな」と気づくことができます。
なぜなら、あなたの意識は「痩せること」に焦点が合っています。
つまり、痩せることに関する情報に敏感になっているのです。
そのため、痩せることに反する情報を敏感にキャッチする(捉える)ことができるようになるのです。
この記事を読まれたあなたは、今後何かしらのやりたくない理由や言い訳をあなた自身が始めたとき「あっ、ホメオスタシスの抵抗がやってきたぞ」と気づくことができるはずです。
実は、今までは気づけなかったホメオスタシスの抵抗を気づけるようになるのは、RASのフィルターがあなたの意識によって書き換えられたおかげで気づくことができたのです。
RASのフィルターが書き換わる
あなたが痩せると決めると、あなたの意識は痩せていることを確定させますので、ダイエットを加速させる状態を作り出します。
その中で一番大きな変化はRASのフィルターが書き換わることです。
先ほど紹介したとおり、五感から受け取った情報はすべて処理することはできませんので、あなたにとって必要な情報だけが大脳に送り届けられるようRASによって情報の遮断が行われています。
「ダイエットしたい」「痩せたい」と願っているうちは、無意識に痩せていない状態を確定してしまいますので、RASのフィルターは「痩せないこと」に関する情報だけをピックアップする(吸い上げる)ように設定されてしまいます。
そのため、痩せることに関する情報はすべてRASで遮断されてしまいます。
たとえ痩せることに関連する情報やダイエットに関する有益な情報をあなたの目や耳がつかんでいたとしても、その情報は大脳に送られないので気づくことができないのです。
ポイント
「痩せたい」から「痩せる」へ思考の転換を行い、痩せることを決めてしまうとあなたの意識は「痩せること」「ダイエットに取り組むこと」に対して焦点を定めます。
そして痩せている状態を確定させるために、RASのフィルターの書き換えが始まります。
あなたが痩せると決めてしまうと、あなたのRASのフィルターは「痩せること」、すなわち「痩せている状態に関すること」に設定されます。
これにより、今までは無意識に見逃していた痩せることに関する情報を敏感にキャッチし、気づくことができます。
また、「痩せないこと」に関する情報は、今までとは逆にRASのフィルターによって遮断されます。
つまり、あなたの意識によってRASのフィルターは書き換えることが可能であり、端的に言ってしまえば、意識したものだけがあなたの脳に届けられるのです。
RASを書き換えを簡単に体験してみよう
RASの書き換えを証明できる面白い実験があります。
これから紹介する例をぜひ試してみてください。
RASはあなたの意識次第で簡単に書き換えることができるということを実際に体感できます。
この記事を読まれた次の日、朝起きたら何色でもよいので、その日のテーマカラーを1つ決めてください。
たとえば、今日は「赤」にしようと決めたとします。
そうすると、通勤や通学中、オフィスや学校についてから、また街で見る光景など、やたらと赤いものがよく見えるようになります。
「こんなところにも赤色があったのか?!」と意外なところに気づくはずです。
これは、朝起きたあとに「今日のテーマは赤だ」と決めたことで、あなたの意識は「赤」に焦点が定まったわけです。
つまり、RASに「赤」に関する情報をピックアップするよう設定したことになります。
そのため、今までは無意識に遮断されていた情報の中から「赤」に関連する情報だけは遮断されずに大脳に届けられるようになったので、赤色が目立つようになったのです。
つまり、痩せると決めてしまうとあなたのRASが痩せることに関する情報を無意識にピックアップすることができるようになるのです。
まとめ:潜在意識を味方につければ鬼に金棒!
「痩せたい」「ダイエットしたい」と思うことは決して悪いことではありません。
これが痩せるためのきっかけとなり、モチベーションをあげて行動できる1つの要因でもあります。
しかし「痩せたい」と思い続けると、やがて「でも……」と痩せたくない様々な言い訳を見つけ始めます。
そしてダイエットをやめている自分にすら気づくことができずに、結果として今までと何も変わっていない現実を目の当たりにします。
これはあなたのやる気や根性が足りないからではありません。
あなたの脳は「痩せたい」と思えば思うほど「痩せない」状況を無意識に作り出してしまうことが原因です。
ダイエットに限らず、何か新しいことを始めようとしたとき、あなた自身が変わることを決意できなければ結果は何も変わることはありません。
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なぜなら、私たちの脳がそのような作りになっているからです。
ポイント
本当に痩せたいと考えているのであれば「痩せたい」から「痩せる」へ思考の転換を行い、あなた自身が変わることをまず決意してください。
そしてあなた自身が変わってしまうことを覚悟してください。
あなたが行う覚悟とは、現状と正反対のものを引き受ける勇気と引き受けるために工夫をこらすあなたの本気です。
あなたの本気を呼び覚ます考え方のポイント
- やりたいことがあるのであれば、やりたくないこともやると決める
- 誰かに助けてもらいたいのであれば、誰かに見捨てられることも当たり前だと受け入れる
- 自分の得意なことを伸ばしたいのであれば、自分の不得意なことにも直視する
- 成功をつかむためには、1度や2度失敗することは当然のことだと素直に受け止める
- 良いことを望むなら、悪いことも「かかってこいや!」とど真ん中で受け止める勇気をもつ
「痩せる」と決意し、覚悟ができたなら、あなたの脳はそれを全力で応援してくれます。
ロジックダイエットもあなたの覚悟を応援しています。
「Yes, you can !!」あなたならできます。